実用化を見据えた提案
RTJの見どころを紹介する連載企画「読んで発見『RTJ2026』」。「RTJとはどんな展示会か」「どんな自動化のヒントを得られるか」についてお伝えしてきた。
この連載が初めての方は、第1回と第2回の記事も併せてお読みいただくとRTJの全体像を把握しやすくなる。
第3回は昨今注目が高まるヒューマノイドやこれまでの連載で紹介しきれなかった次世代の自動化ソリューションを中心に、会場で出会える最新トレンドを見ていく。
ロボット業界の技術開発は目覚ましく、続々と新製品や新技術が生まれている。その多くはまだ実証段階だが、RTJ2026では実用化を見据えた具体的な提案にも出会える。
中国勢がそろい踏み
近年ロボットや自動化関連の展示会で存在感を増すのがヒューマノイドだ。二足歩行や双腕による搬送対象物の把持が可能で、従来の産業用ロボットと比べて活用範囲が広がる。人間の身体構造を模した設計のため、従来の作業スペースにそのまま置き換えて導入しやすい。
二足歩行ゆえの転倒リスクや安定した長時間稼働の難しさ、安全基準の整備などさまざまな課題は残るが、サービス分野や介護、家庭用ロボットとしての活用が期待される。また、中国や米国が技術開発をけん引する中、製造現場への導入に向けた実証も急速に進んでいる。
RTJ2026はヒューマノイドが初登場する。会場ではヒューマノイドや協働ロボット、自律走行型搬送ロボット(AMR)などが自在に動き回る未来の製造現場の一端を垣間見られるかもしれない。
中国の深センに本社を置くロボットメーカー、DOBOT(ドゥーボット)の日本法人、DOBOT JAPANはヒューマノイド「Atom Max(アトムマックス)」を紹介する。
41個の関節を持つヒューマノイドで、人間の細かい手作業を高精度に再現する。ロボットに動作を教示する「ティーチング」に加え、ロボット自身が人間の動作を見て考えて動く「人工知能(AI)推論モデル」による制御が可能だ。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のYATOMIエンジも中国のロボットメーカー、LEJU(リジュ)のヒューマノイドを展示する。双腕ロボットとAMRが組み合わさったような安定性の高い設計で、折り畳み式の下肢部分を伸ばすと最大約2mの高さにある通い箱をピックアップできる。今回展では製造現場での実用化を視野に入れたデモでPRを図る。
この他、TechShare(テックシェア)は代理店を務める中国のUnitree Robotics(ユニツリーロボティクス)の「Unitree G1」を公開。ダイドーは同AGIBOT(アジボット)製の「AGIBOT G2」を出展する。中央工機も中国・深センに拠点を構えるUBTECH(ユービーテック)のヒューマノイドを出展予定で、中国勢のヒューマノイドが一堂にそろう展示会となる。
一方、国内メーカーの提案にも注目だ。RTJ2026の主催企画「産業用ロボット体験ゾーン」ではカワダロボティクスの人型協働ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」やトヨタ自動車が開発したヒューマノイド「CUE(キュー)」が登場するため、こちらもぜひお見逃しのないように。
ヒューマノイドは人間と同様の関節構造を持つため小型で高精度な精密部品の開発が欠かせない。加えて、高性能なロボットを支えるソフトウエア技術やAI技術も重要性を増している。RTJ2026の会場ではこうしたロボットの周辺技術の提案にもぜひ注目してみてほしい。
レールがいらない
工程間搬送の自動化ソリューションとして、リニアモーターを用いてシャトル(製品を載せて移動する台座)を非接触で高速、高精度に移動させるリニア搬送システムが注目されている。一般的には敷かれたレールの上を走行する方式が主流だが、最近はレールではなくタイルの上をシャトルが自由自在に移動できる次世代のリニア搬送システムも登場した。
包装機械メーカーのフジキカイはリニア搬送システムを武器に、得意の食品産業向けの他、幅広い産業に提案領域を広げている。
今回はオーストリアB&Rの磁気浮上型搬送システム「ACOPOS(アコポス)6D」と5軸のパラレルリンクロボットを組み合わせたリニア搬送システム「フローティング6D」を出展する。
シャトルを縦横無尽に動かせるのが特徴で、シャトルごとに回転させたり速度を変えたりと個別制御が可能だ。レールが不要なため、限られたスペースに設置できる他、レイアウトの自由度も高い。
ダイナミックツールは磁気浮上式搬送用スマートロボット「Planar Motor(プラナモーター)」を披露する。可動子「XBot(ボット)」とモジュール式のタイルで構成されるため、拡張性が高い。XBotは独立制御が可能で、前後、左右、上下方向の移動に加えて無限回転や傾斜にも対応する。タイル上を浮遊するため粉じんが発生せず、食品や化粧品、医薬品などの高い清浄度が求められる環境でも使える点をアピールする。
今回展では積載するワークの姿勢を精度よく適宜変更しながら、その立体形状をリアルタイムで測定するデモや、NG品をその場で自動的に振り分けるデモを実施する予定だ。
(ロボットダイジェスト編集部 平川一理)