出展への期待と狙い

公式メディア連載企画

WEBマガジン「ロボットダイジェスト」とコラボし出展の見所や業界の期待をご紹介します!

ロボットダイジェスト×ロボットテクノロジージャパン

2021.12.28 / 中西金属工業

注目していた愛知での展示会に
即決

産業用ロボット・自動化システムの専門展「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)2022」に出展を決めた企業に、出展の狙いや意気込みを聞く本企画。今回は中西金属工業(大阪市北区、中西竜雄社長)を紹介する。同社は、フォークリフトの台車がベースの無人搬送車(AGV)上にロボットを搭載した「ROBO Square(ロボスクエア)」を今年度中に発売予定。製造業の工場や倉庫向けに提案するため、自動車産業をはじめ製造業の集積する愛知県でPRの機会を模索していた。物流推進室の光川竜右室長は「PRしたいと思っていたタイミングやエリアにうまくはまり、即決した」と話す。

製造業向けにPRするなら愛知

今年度中に発売しRTJ2022に出展予定の「ロボスクエア」

「愛知県でロボットの展示会がないか、以前から注目していた。RTJ2022への出展は即決だった」と中西金属工業の輸送機事業部物流推進室の光川竜右室長は話す。というのも、同社がこれまで手掛けてきた自動化提案は無人搬送車(AGV)や無人フォークリフトなどの物流機器をベースにしたものだったが、今年度中に発売予定の新製品ロボスクエアはロボットだからだ。

ロボスクエアのターゲットは、単なる倉庫ではなく、製造業の倉庫や工場。「発売のタイミングに近い開催時期や、製造業が集積する愛知県という開催地。『産業用ロボットに特化』とのテーマが合致したため、案内を受け取ってすぐに出展を決めた」と光川室長。「初開催の展示会なので、集客も頑張ってくれると期待している」と言う。

「単純に新製品をPRするだけでなく、来場者にインパクトを残したい」と話すのは、物流推進室の木村光希さん。

同社は「もの売り」ではなく「こと売り」を志向しており、標準化した製品を量産するよりも、常により良いものを開発、製造し、工場のレイアウト変更や用途に合わせてカスタマイズすることを得意とする。「ロボットやロボット周辺の技術は日進月歩で向上しているため、その考え方がふさわしいと思う。出し惜しみせず、わが社のその時々の『最高』を見てもらいたい」と力を込める。

肉体的にきつい仕事をロボットに

ロボスクエアの稼働イメージ

新製品のロボスクエアは、川崎重工業のロボットをフォークリフトのベース部分に搭載した構成。トラックなどの荷台のコンテナへの積み下ろし作業とパレット(荷役台)への積み下ろし作業」を自動化する。

コンテナから荷物を下ろすデバンニング作業は倉庫作業の中でも肉体的な負荷の高い仕事で、事故やけが、暑さや寒さなど、作業者の不満も出やすく人手不足だ。

ロボスクエアは作業位置まで自動で走行し、画像認識で荷物を判別し、最大30kgの荷物を持ち上げてコンベヤーに移動させる。コンテナの奥まで入り込んで作業できる。

荷物の積み下ろしをするトラックバースでは決められた時間内に作業が終わらないと追加料金がかかる場合が多い。迅速にデバンニングするため合計30kgまでであれば2箱同時に搬送することもできる。

輸送機事業部では自動車部品メーカーなどの工場にコンベヤーなどを数多く納入しており、その工場への導入を提案する考えだ。

出展には裏の狙いも

「顧客をよく知り、本当に求められるものを開発したい」と語る物流推進室の光川竜右室長

「展示の目玉は新製品であるロボスクエアだが、ただ製品PRをするのではなく、ニーズをくみ取って一緒にシステムを作り上げるというスタンスを訴えたい」と光川室長。

同社はもともと自動車工場などのコンベヤーを中心に手掛けてきたが、2015年ごろからAGVなど自動化設備の開発に力を入れてきた。輸送機事業部の技術開発部長でもある光川室長は「少しずつノウハウが蓄積され、最近では自社でできることが増えてきた」と話す。

ハードウエアの開発能力は向上したが、課題はロボット制御などのソフトウエア面だ。「ロボット制御は何と言ってもロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が強い。RTJ2022では、パートナーとなるSIerを探したい」と話す。

また、同社にとり展示会は社員教育の場でもある。特に若手の営業マンに積極的に展示会スタッフとして参加させる。木村さんは「製品について多くの来場者に繰り返し説明することで、説明や会話のスキルが磨かれる」と言う。

DXに備え自動化が進む

物流推進室の一員である木村光希さん(左)と光川室長

光川室長は「今後、物流業界ではロボット導入が進むと見ている」と言う。

地方や繁忙期など労働力確保が難しいケースは今までにもあったが、今回の新型コロナウイルス禍で人手不足どころか、人手が余っている業界もある。また、単純に人手が必要なだけであれば、外国人労働者などが増えれば補える可能性もある。

それでも自動化の引き合いが活発なのは、デジタルトランスフォーメーション(DX=デジタル技術による業務革新)が進みデータ収集などの要求が高まると、人手だけでは対応できない領域が出てくるからだ。

光川室長は「業界では今、自動化を進めなければ、近い将来に物流業界でDXの大きな波が起きた時に取り残されてしまうとの危機感がある。われわれも、先を見据えた提案をしたい」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部)

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