公式メディア連載企画
WEBマガジン「ロボットダイジェスト」とコラボし出展の見所や業界の期待をご紹介します!
Vol.
2
優しくつかめるAハンド、加工現場でどう使う?
安藤
機械工具の専門商社の安藤(名古屋市昭和区、安藤仁志社長)は、来年7月2日から愛知県国際展示場(アイチ・スカイ・エキスポ)で開かれる「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN(ロボットテクノロジージャパン、RTJ)」に出展する。展示を予定するロボットハンド「Aハンド」は、シリコン製の先端(指)部分にエアを流して、内部のエア圧を調整して指の曲げ伸ばしをする。まるでタコの足のように柔らかく動き、優しく包み込んだり先端でつまむことができるため、柔らかい物や傷を付けたくない物を扱うのに最適だ。ここでは初開催のRTJに出展する安藤の意気込みとAハンドの特徴を聞いた。
(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)
加工業でAハンドを生かせるアイデアを
「こんな所に使えるかも、こんなことをさせられるかも。RTJの会場ではそういった来場者の声や意見を多く集めたい」と安藤の安藤仁志社長は期待を話す。
安藤は、中国のロボットハンドメーカーが開発した「Aハンド」をRTJに展示する。Aハンドは、海外の製造現場での採用実績はあるものの、国内ではこれまで販売されていなかった。そこで、安藤は開発元の中国メーカーにコンタクトを取り、昨年から取り扱いを開始。試験的に貸し出している段階で、製造ラインにはまだ導入されていない。形状の異なる物を優しくつかめる特徴から食品産業からの引き合いが多く、展示会などで紹介してもリアクションは良好。今後は金属加工業への提案を考えるが、まだ使用事例が少なく提案の幅も狭い。Aハンドの性能を多くの人に認知してもらい、さらに製造現場からのニーズを集めるため、今回の出展を決めた。
製造業の盛んな愛知で開催するRTJは、ロボットの導入を検討する企業、特に自動車分野など工業系に携わる企業が多く来場すると予想できる。その会場では、より加工現場に近いニーズ、困り事などを集めやすい。来場者から意見をもらうためにも「まずはAハンドを見て、興味を持って、どんどん使ってほしい」と安藤社長はアピールする。
ソフトに触れて、卵の黄身も割らずに持つ
Aハンドは、自動車や電気製品、食品、医療、アパレルなど幅広い産業で選別、仕分け、搬送作業ができるロボットハンドだ。
最大の特徴はシリコン製の先端(指)部分。柔らかく包み込むように物をつかめるため、傷つけず優しく搬送したい場合に力を発揮する。
取り付けも簡単なため、機械的なチャックや吸引チャックの使えない場面で使用できる。生卵の黄身だけを割ることなくつかんで運ぶこともできるほどだ(=動画)。
人が物を持つようにつかむハンド
人が物をつかんだり、覆ったりするのと同じ発想で製品を持てるようAハンドは設計された。ハンドの指に使われるシリコンは、内部が空洞になっており、そこにエアを流し込み圧力を調整することで、製品に合わせてそっと挟み込んだり、しっかりつかんだりできる。先端部分は、がっちりつかめる「フィンガータイプ」と小物を挟むようにつかむ「くちばしタイプ」の2種類を用意する。
つかめるサイズも、先端部分の形状や数、組み合わせを変えることで、小型部品からある程度大きさのある自動車ライト用部品などまで対応する。金属製のハンドに比べてつかむ力は弱いが、最大9kgまでの物なら問題なく搬送が可能だ。例えば柔らかい物なら果物やパン、布製品、硬い物ならスマートフォンや自動車のクランクシャフトなどに対応できる。つかめる物のサイズや種類がとても幅広いため「使い手の発想次第ではAハンドの可能性は無限大」と安藤社長は自信を見せる。ただし「まだ扱っている自分たちでも気付けていない活用方法が多い」とも言う。
「RTJで作業現場に近い人にAハンドを見てもらうことによって、これまで自動化を諦めていたような分野への応用の可能性が開けるのでは」と安藤社長は期待する。