出展への期待と狙い

公式メディア連載企画

WEBマガジン「ロボットダイジェスト」とコラボし出展の見所や業界の期待をご紹介します!

ロボットダイジェスト×ロボットテクノロジージャパン

2021.12.14 / 東京エレクトロンデバイス

ロボの目と選べるスキルで誰でも簡単に

来年6月30日~7月2日にかけて愛知県常滑市の展示会場「アイチ・スカイ・エキスポ」で開催される「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN(ロボットテクノロジージャパン、RTJ)2022」に、いち早く出展を決めた一社が東京エレクトロンデバイスだ。電子や半導体を扱う技術商社のイメージの強い同社だが、RTJ2022では産業用ロボットとビジョンシステムを組み合わせたパッケージシステムを訴求する。その具体的な内容とは。

優れた「ロボの目」システム

RTJ2022の出展責任者も務める神本光敬PB営業本部長

東京エレクトロンデバイスは、半導体や電子機器の販売と、それらを組み合わせたソリューション提案が強みの技術商社だ。

ただ、もともと「inrevium(インレビアム)」の名称でプライベートブランド(PB)の自社製品にも取り組んでおり、3年前からは生産や物流現場向けのシステム構築にも取り組む。

2018年には、画像処理向けソフトウエアメーカーのファースト(神奈川県大和市、阪本奇男社長)を子会社にした。それ以来、ファーストの画像処理の技術をロボットシステムに応用する製品開発を続けている。

デジタルファクトリー営業部の部長も兼任する神本光敬PB営業本部長は「ファーストの精密な画像処理の技術を『ロボットの目』に生かすと、ロボットで複雑作業も実現できる。事前登録なしで幅広い形状の対応物を柔軟に扱え、色やサイズを見抜いて仕分けや検査をできる。また、3次元の画像処理をできるため、位置や姿勢の補正が得意で、精密な組み付けなどにも向く」と話す。

「TriMath(トリマス)OS」を介して連携する機能のイメージ(提供)

それらの複数の技術を連携させたのが、生産現場や物流現場向けのロボットシステム「TriMath(トリマス)」だ。

光学機器と画像処理技術や人工知能(AI)を「トリマスビジョン」としてパッケージにした。それを核に、ロボット、ロボットハンドなどを「トリマスOS」を介してまとめて制御し、連携して動作させる。

高度なシステム構築が必要だった不定形物や不規則形状物の搬送や仕分け作業を、簡単に実現できる。このシステム全体をトリマスと呼ぶ。

必要なスキルを組み合わせ

TriMath(トリマス)を使い、ピッキング作業をするロボット

対象物や現場の業務に合わせて、システム内にある「ピッキング」、「認識・計測・検査」、「仕分け」の3つの基本動作の中から必要な機能を選択してシステムを構築する。

ピッキングの中でも、対象物や使用環境に合わせて、システム構成を変えられる。

例えばビジョンシステムでは、2つのカメラで立体的に捉えるステレオカメラや、深度センサーと組み合わせて対象物との距離を測れるToFカメラ、レーザー光で測定するレーザー式などから選べる。また、ロボットやロボットハンドも複数のパターンから選択し、システムを構成する。

一般的にビジョンシステムを持つロボットは、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が現場の使用場所ごとに一品一様で構築する。

神本本部長は「トリマスには光学機器と画像処理やAIのコア技術があり、ロボットと連動も簡単で、必要なスキルを組み合わせて応用できる。各所の稼働条件に適応させやすく、教示作業を大幅に削減して素早い導入と効率的なシステム運用をできる」と胸を張る。

ドラムや縦型洗濯機を簡単に仕分け

リサイクル工場での洗濯機の仕分け作業

すでに導入も始まっている。リサイクル工場では、廃棄された洗濯機の仕分け作業に採用された。

洗濯機はコンテナ内に複数の層で乱雑に積み上げられた状態で工場に到着する。そこから縦型やドラム式など洗濯機の種類別に荷下ろしをし、仕分けする。搬送メーカーや製造時期でさまざまな形状やサイズがあり、従来のビジョンシステムでは対応が難しかった。重さのある洗濯機だが、人手で仕分けていた。

そこでトリマスをベースにしたロボットシステムを導入した。

プロジェクターを使い、特殊なパターン光を対象物に投影する。そのパターンをカメラで撮像して3次元情報を取得して、洗濯機の種類や積まれた状態をAIなどで解析。ピッキングに必要な座標情報をロボットに出力し、ピッキングして縦型やドラム式などに仕分けする。洗濯機の形状や積み方などの情報登録が不要で、導入コストも運用コストも抑制できた。

また、ピッキングや仕分け作業以外にも応用が進む。部品に接着剤を塗布し、組み付けをして測定検査までを1台のロボットで担うシステムを開発中だ。

複数の光学機器を組み合わせて、画像処理の技術を駆使し、事前の形状登録なしでさまざまな形状の部品に対応する。トリマスの「ピッキング」、「認識・計測・検査」、「仕分け」の全ての機能を応用した。

トリマスを実機で

「複雑な作業から、作業者を解放したい」と神本光敬PB営業本部長

こうした採用実績も出始めて、販売促進を加速させようとした矢先に、今回の新型コロナウイルス禍に見舞われた。

「一般的に東京エレクトロンデバイスは技術商社として認知されている。既存事業の顧客層と異なる工場や物流現場へ、新たにロボットシステムを訴求していく必要があるが、コロナ禍では新規顧客に接触しにくく機会が限定された。そのため優れたソリューションがあっても、そもそも気付いてもらえていない」(神本本部長)。

そこで新規顧客の開拓と直接ニーズを聞く機会を求めて、展示会への出展を模索した。情報収集を進めて、RTJ2022を見つけ、いち早く出展を決めた。

神本本部長は「生産現場や物流現場に特化したロボットと自動化の展示会との位置づけが、われわれの訴求したい点とぴったり合致した。リアルの展示会ではやはり、実機の展示が人の目を引く。従来は作業者にしかできなかった複雑な作業から、人を解放するために、トリマスを使った提案を会場で披露したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部)

公式メディア紹介

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