公式メディア連載企画
WEBマガジン「ロボットダイジェスト」とコラボし出展の見所や業界の期待をご紹介します!
2021.10.8 / RTJ事務局長インタビュー
ROBOT TECHNOLOGY JAPAN、リベンジへ
2022年6月、愛知で新たなロボット展示会が産声を上げる――。産業用ロボットと自動化システムの専門展「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN(ロボットテクノロジージャパン、RTJ)2022」を、ニュースダイジェスト社(名古屋市千種区、樋口八郎社長)が開催する。今年9月から出展者の募集を開始した。実は2度目の「初開催」。2020年展は182社・団体、888小間の規模で実施する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中止した。平野清嗣事務局長は、新型コロナへ万全の対策を取った上で「安心、安全に開催したい」と意気込む。
産業の集積地、中部で
―展示会の概要を教えてください。
ニュースダイジェスト社は愛知県機械工具商業協同組合(愛機工、理事長・水谷隆彦ミズタニ機販社長)と2022年6月30日~7月2日の3日間、RTJ2022を開催します。会場は愛知県常滑市の愛知県国際展示場(アイチ・スカイ・エキスポ)です。中部国際空港から徒歩5分の立地で、名古屋駅から最速30分程度で到着します。また駐車場は3400台分の用意があり、電車でも自動車でも飛行機でもアクセスしやすいと考えています。
―今年9月から出展募集を始めたそうですね。
はい。出展募集開始から1週間で、30社ほどから申し込みを受けました。また、大手ロボットメーカーからは、かなり大規模なブースの出展意向も聞いています。ロボットハンドやセンサー、無人自動搬送車(AGV)、自律走行型搬送ロボット(AMR)の各メーカーとシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)からも問い合わせが相次いでいます。
―改めて、展示会に込めた思いや狙いは何ですか。
日本は少子高齢化が進んでいます。今でも叫ばれている人手不足が、将来はより深刻になる。そこで産業用ロボットの導入の機運が高まっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生産現場での作業員の密接回避のニーズも出始めており、ロボット業界は活況です。
―なるほど。
特に中部地方は製造業が集積しており、生産性の向上や品質の安定といった課題の解消も含め、産業用ロボットに興味を持つ方は多いでしょう。ただ一方、これまで中部地方で大規模なロボットの展示会がなく、ロボットの情報を直接集めるためには、東京や大阪まで足を運ぶ必要がありました。
―それが愛知で開催する理由ですね。
はい。新規の産業用ロボットの展示会なので、歴史ある他のロボット展示会と同様の内容にするつもりはありません。人手不足が進む中で、中部地方を中心とした来場者の方々と、未来の生産現場や未来の物流倉庫の姿を一緒に考えられる展示会にしたい。そこで工場や倉庫で使える産業用ロボットや自動化システムに特化します。さらに、「ロボットをどのように使うか」を具体的に紹介する会場にします。また現場のオペレーターや生産技術者の方々が、作業着のまま来られる展示会を目指します。
―作業着のまま。その思いは。
現場で働く方が直接来場し、出展者と意見交換してほしいです。出展者目線では、東京や大阪の展示会とは異なる、現場に近いニーズをきっと発掘できるでしょう。もちろん中部地方には本社機能やそれに準ずる管理部門を設ける企業も多く、設備計画を担当する方も相当数います。スムーズな商談も期待できます。
産業用ロボットに特化した展示会を
―具体的な出展製品はどういったものでしょう。
産業用ロボット本体や、それを使ったシステムを対象にします。付帯するロボットハンドなどのエンドエフェクターやロボットコントローラー、センサーも当然、出展対象です。AGVやAMR、物流業界向けの搬送システム、包装関連の自動化システムの提案もあるでしょう。シミュレーションやモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)技術などのロボットに関連したソフトウエア、ロボット本体を構成する減速機やサーボモーターなど要素部品メーカーの出展も受け付けます。一方、例えば企業の受付に置くような人型ロボットや介護、警備向けのサービスロボット、ドローンは展示会の対象外にしました。
―出展者はロボットメーカーだけではない。
当然、ロボットやロボットの周辺機器メーカーが中心になります。ただ、それだけなくロボットを使ったパッケージシステムを持つ産業機械メーカー、特に工作機械や工作機器、測定機器メーカーから問い合わせが多くあります。
―その他にこの展示会に特徴はありますか。
ロボットシステムを構築するシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の存在が、産業用ロボットの普及には大切です。ロボットは購入して、設置しただけでは動作しません。ロボットに動きを教示(ティーチング)し、機械や周辺装置と同期して一体のシステムとして動作することで、初めて実力を発揮します。そのシステム構築を担うのがSIerです。ロボット業界では、「縁の下の力持ち」と言われることも多いですが、われわれはSIerにもスポットを当てます。
―具体的には。
SIerに特化した「SIerゾーン」を設けます。一言でSIerといっても、企業ごとに得意な分野やシステムの規模がある。そういったものを、具体的なアプリケーションの展示を通じてアピールしていただければと思います。SIerと来場者が出会う場になれば幸いです。
―確かに従来の展示会では、SIerを見る機会が多くなかったですね。
われわれもバックアップしたい思いで、SIerゾーンの出展費用を一般ゾーンよりも低く設定しました。一般ゾーンでは1小間34万円ですが、SIerゾーンの出展費用は25万円です。こちらを「SIerAゾーン」としています。また、展示会の出展に慣れていない企業もある。そこでトライアルとして、パネル展示に限定した「SIerBゾーン」も用意しました。こちらは15万円です。
2度目の「初回」に意気込む
―どれくらいの来場者数を見込んでいますか。
3日間で計3万人を見込んでいます。わが社は2年に1度、名古屋市で日本最大級の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)」を主催しています。近年は9万人超にご来場いただいています。その来場者の登録情報を使ってPRをします。また、MECTでは共催の愛機工の存在も大きいです。愛機工には中部地方に根差した製造業関連の専門商社が250社以上も加盟しており、多くの顧客に展示会のアピールをしていただいてます。もちろん、RTJも愛機工と一緒に開催します。
―実は2年前にも計画があった?
はい。実は2020年に初回展を開催する予定で準備を進めておりました。2020年展は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から開催を中止しましたが、全体で182社から888小間の出展申し込みをいただいていました。今回は新型コロナウイルス感染症への対策も万全にして、開催します。
―この状況下でのイベントでは、その対策も気になります。
ご安心ください。今年開催のMECT2021では出展者および来場者を含めた関係者の皆さまの安全を最優先に考え、新型コロナウイルスの感染状況に合わせた感染防止対策を講じながら、開催に向けて準備を進めております。開催期間中も会場内でのマスク着用の徹底、入場時の検温・手指の消毒、館内の滞留人数の把握と入場制限など各種対策を講じて会場運営にあたります。そこで得たノウハウを生かし、RTJ2022でも万全の対策をします。
―やはり中部の方が来場者の中心ですか。
わが社は出版社として産業用ロボットに特化した「robot digest(ロボットダイジェスト)」や設備材の専門誌「月刊生産財マーケティング」を発行しています。メディアとして取材をすると、人手不足やベテランの引退による生産品質の低下にお困りの方が本当に多い。特に中部地方では顕著です。そこで2年に1度ではありますが、RTJが自動化提案の展示会として、地域に根付いてくれればと思います。現場の自動化とロボットの普及を促進できたら、主催者として、これ以上幸せなことはありません。繰り返しになりますが、近い将来、ロボットの活用は必須になる。まずは導入の一歩を踏み出すきっかけを、RTJで見つけていただければと思います。
(ロボットダイジェスト編集部)